ラノベ作家志望、胡蝶飛鳥の投稿ブログ

夢はラノベ作家、現在箏曲部部長を務めつつ文芸部を兼部中。そんな飛鳥がのんびり小説やら絵やらを書くブログです。

犬神、憑いてます。

本作は、文芸部誌χάος掲載する予定のものです。

犬神。それは 古来より続く呪術の一種。 飢えた犬を頭だけ出すように地中に埋め、その前に餌を置く。 そして餌を食べようとしたところの首を刎ね、使役するというものである。 犬神を使役する者を犬神憑きという。 その者達は必ず、不幸になるというーーーーー 犬神。それは古来より続く呪術の一種。 飢えた犬を頭だけ出すように地中に埋め、その前に餌を置く。 そして餌を食べようとしたところの首を刎ね、使役するというものである。 犬神を使役する者を犬神憑きという。 その者達は必ず、不幸になるというーーーーー 1 犬神憑きは不幸になる。そう言われているのだが。 「あだっっ!」 「..................」 少女は額を抑えた。 隣には頭から下がない、幽霊みたいな黒い、犬がいる。 その頭頂部には、タライが。 「あ〜や〜!ちょっとは庇ってやろうとかないのかよお!」 「ない」 「ひっでえ!」 綾と呼ばれた少女は犬をじとっと見下ろす。 「犬神は普通の人には見えないから、ボクが不思議がられるでしょ」 犬神はタライをそのままに、おんおん泣いている。 黒崎綾。それが彼女の名前である。 綾は代々、犬神を使役する、犬神憑きの陰陽師一家の娘だ。 不幸になる、不幸になると言われ続けたが、今のところ平穏平和極まりない生活を送っている。 どちらかというと、不幸な目にあっているのは犬神の方だ。 突然木の枝やフライパンやタライが頭上に落ちてきたり、木にぶつかったり、電柱にぶつかったり、人や鳥に撥ねられたり。 しかし誰も視えないのである。極少人数を除けば。 一方犬神は黒い犬の頭だけの姿である。 幽霊みたいな状態で、瞳は綾と同じ赤。 「綾〜。最近どうなんだ?学校」 「別に」 綾の通う小学校は九十九学園初等部。 九十九学園は小、中、高の一貫校である。 「おい、いじめられてたら言えよ?俺の不幸オーラでそいつに天罰を…」 ゴンッ 「バカなことはしないの」 タライで犬神を殴った綾。 しかし、傍目から見ると一人でタライを持って素振りをした怪しい少女である。 「愛してやってる使役にひっでえな、おい!」 「ボクは犬神のせいで不審者扱いだよ」 ぎゃんぎゃん喚く犬神はやはり周りには見えない。 「おーい!綾あ!」 聞こえた声に綾は額を抑えた。 鬱陶しい奴が来た。 「お前なんで先に行くんだよ!ひどいやつだな」 少年が綾を追いかけて来た。その背後には狐の霊が憑いている。 『だーから早く家を出ろと言ったのじゃ』 「うるせえよ」 少年はぷいっとそっぽを向いた。 『ところで悠よお、最近世の中物騒だよなあ?妖が跋扈しているのをよく見かけるんだが』 「…それは責めてるのか」 悠はじとっと犬神を睨む。 悠は狐憑きの陰陽師である。実家は金融系を営んでいる。 ちなみに、黒崎家は政治系列の家柄だ。 『妖怪退治はお前の役割だろ?綾はまだ小学五年生なんだよ。だ、か、ら、頼むぜ』 「こっ、この首無犬め…!」 ギリギリと歯噛みする悠の後ろでくつくつと忍笑いが聞こえる。 「なんだよ、玉姫まで」 『くっくっく…戯け者め…』 「はあ?」 玉姫は笑いをこらえきれずに吹き出した。 一方綾は悠を哀れんだ瞳で凝視している。 『お主、傍目から見ると、一人で叫んでいる戯け者だぞ…?くくく…』 あ、と悠は固まった。 その様子を見ていた綾はバカだ…と呟き、学校へ向かって行った。 突然だが、綾たちの通う学校は小、中、高がつく一貫私立学校だ。 その名も九十九学園。ここは、大手企業の息子娘などが通う、いわゆるセレブ学校である。 なので、歪んだ愛情をよく受けることがあるが、綾はそんなことは気にしない。 何故そうなのか、それはおいおいわかるだろう。 綾は6時間目を終え、一人通学路を歩いていた。 犬神はというと、家で夕飯の支度をしている、らしい。 「ちょっとそこのお嬢ちゃん」 綾は声のする方を振り返り、立ち止まった。 若い男だ。 「お兄さんと一緒に遊ばないかー?君のお父さんと知り合いなんだよ」 そう言い終えるか終わらないかのうちに綾の腕を掴む。 しかし、綾は動じない。ああ、またか。と思っているだけだ。 「ほうらもう逃げられない。こっちにおいでー?」 綾はふう、とため息をつくと赤い瞳で男を見た。 「…あなたは…ボクが何者か、知って言っていますか…?」 ぼう…と赤い瞳が光る。 「ひいっ…!なんで…め、目が光って…!」 男が綾の腕を離して後退する。 すると綾の周りに椿の花弁が舞い始めた。 勢いを増す花弁は、綾を包む。 次に現れた時は、和装した姿に変わっていた。 「ばっ、化け物…!」 男は慌てて逃げ出そうとした。 「逃がさない…」 綾は手のひらを翻し、霊力を集める。 「必殺!破邪、タ☆ラ☆イ☆斬☆り!」 霊力を纏ったタライが高速で回転し、男の後頭部に直撃する。 きゅう、と伸びた男を尻目に、綾はぱんぱん、と手を叩くと、元の姿に戻り、携帯を取り出した。 「あ、もしもし。警察の方ですか?たった今誘拐犯に襲われたのですぐきてください。場所は九十九学園前です」 そう言って電話を切ると、その場を後にした。 『綾あぁぁぁぁぁっっ!』 帰ってくるなり綾に飛びつこうとした犬神を反射的にはたき落とす。 『お前っ…!大丈夫だったのか⁉︎鳥どもがぎゃあぎゃあ騒いでたんだぞっ!』 おんおん泣いている犬神。それを冷たくスルーする綾。 しかし見ると、犬神の目からはポロポロと涙が。人身を取っている犬神は黒髪に赤い瞳、二十歳前後の青年の姿だ。青年がポロポロと涙を零し、小さな幼女を見上げている姿はどこかおかしい。 どうしてくれよう、この男。 綾は犬神の耳元で囁いた。 「犬神、もう大丈夫だから」 よしよしと、犬神の頭を撫でる。 「ねっ?」 必殺、天使の笑み。 犬神はこれでイチコロなのだ。 情緒不安定で出現した耳がピコンッと立った。多分きっと、尻尾があればブンブン横に振っていることだろう。 「綾、夜ご飯何がいい?」 すっかり機嫌が直ったようだ。 「うーん、鯛茶漬け」 「あいわかった!」 嬉しそうに去っていく犬神を見て、本当に平和だな、と思う綾だった。 犬神。それは古来より続く呪術の一種。 飢えた犬を頭だけ出すように地中に埋め、その前に餌を置く。 そして餌を食べようとしたところの首を刎ね、使役するというものである。 犬神を使役する者を犬神憑きという。 その者達は必ず、不幸になるという。 でも、ボクは不幸じゃない。犬神がいて、他にも仲間がいる。ただそれだけで、幸せなんだ。

好きな本と作家さんとの出会い

<p>今週のお題「読書の秋」</p>

好きな本と言えば、私は志賀直哉先生の本も好きですし、シャーロックホームズやファーブル昆虫記なども齧ったことがあります。

しかし!私が最も大好きで、最もファンレターを送らせていただいた作家さんが一人います!

結城光流先生です!

少年陰陽師」や「篁破幻草子」を読んで大好きになりました!❤️

そして、私の将来の夢を与えてくれた大切な一作です!

出会いは古本屋。ふと、本棚を見たときに目に飛び込んできたんです。

まさに運命の出会い…💕(大袈裟ですがw)

小説だとちょっと固くて読みにくい、ライトノベルだとなんだか薄い。そんな方にオススメです!

平安時代や歴史が好きな方も楽しめる一作となっています!ぜひ読んでみてください!